大腸ポリープの内視鏡的切除手術
ポリープは粘膜の一部が盛り上がって生じた組織のことです。大腸ポリープは、腫瘍性と非腫瘍性に大別され、腫瘍性の腺腫は大きくなる過程で大腸がんへ進行することがあります。大腸カメラ検査でポリープが見つかった場合、すぐに内視鏡で取り除くことができます。
また、基本的に日帰り手術で対応できますので、入院は不要です。
大腸ポリープの種類
40代を迎えると大腸ポリープの発症リスクが上がります。
大腸ポリープは次の4つに大別されます。種類によってはがんに進行したり、もしくは発症間もないがんであることも珍しくないため、取り除くことでがんに進行することを防ぎます。
腺腫性ポリープ
大腸ポリープで一番典型的なものです。粘膜上皮の腺細胞に異常が起こることで増加します。大きくなる過程で癌に進行することがあります。およそ10mmを超えると前がん病変となり、がんに進行する危険性が上昇します。内視鏡で見つかった場合は、取り除くことをお勧めします。
過形成性ポリープ
直腸に生じやすく、サイズは5mm以下です。がんに進行することが稀な良性ポリープだとされています。なお、右側結腸(上行結腸、盲腸、横行結腸)に生じる過形成ポリープが6mmを超えるとがんに進行する危険性があると考えられており、内視鏡で取り除くことが必要です。
炎症性ポリープ
炎症が起こることでできる良性のポリープで、がんに進行することは稀だと考えられています。腸で炎症が起こった後、粘膜再生の際に増加した細胞がポリープに変わることで生じます。
若年性ポリープ
過誤腫性ポリープという組織奇形の1つです。巨大化すると自然に剥がれ落ちて出血が生じ、血便や下血などの症状が現れます。基本的に良性で、単発の場合はがんに進行することはありませんが、多発した場合はがん化リスクがあるとされています。
日帰りで対応できる内視鏡的治療
ポリープの形状や大きさに応じて複数の治療法が存在します。
ポリペクトミー
茎を持つポリープや、球形のポリープに対して実施される治療法です。内視鏡の先から輪っか状のワイヤーを出して茎部分に取り付け、高周波電流を流して焼き切る方法と、高周波電流を流さずに取り除く方法があります。
内視鏡的粘膜切除術(EMR)
ほとんど隆起していない平べったいポリープや、巨大なポリープに対して行われる治療法です。内視鏡に付いている注射器からポリープ下の粘膜下層に生理食塩水を流し込みます。粘膜と一緒にポリープが浮かんできたら、高周波電流を流して取り除きます。
内視鏡的治療前後の注意点
約1週間は日常生活に制限があります
術後約1週間~10日は日常生活に制限が入ります。ポリープの切除方法やサイズによって制限内容には違いがあります。稀ですが、偶発症として大腸で穿孔や出血が生じる場合があるため、腹圧がかかる運動(テニス、ゴルフ、ジョギングなど)、飲酒、旅行などを控えて頂きます。
内服中のお薬を確認します
前述の通り、大腸ポリープの内視鏡的治療で最も注意しなければならないのは、術後の出血です。したがって、血液をサラサラにする抗血小板剤や抗凝固剤などはガイドラインに則って医師が服用方法をお伝えします。これらのお薬を使っている方は、必ず前もってお知らせください。
患者様それぞれの状況に合わせて使用中止期間を考えますが、使用をストップしない方が良い場合は、ポリープ切除自体を実施しないこともあります。
治療費について
ポリープ切除は保険が適用されます。
1割負担 | 3割負担 | |
ポリープ切除 | 約7,000円~約13,000円 | 約21,000円~約35,000円 |
※なお、切除するポリープの位置や数次第では料金が変動します。
任意保険の手術給付金について
認印生命保険や入院保険の加入中の方は、手術給付金が下りることがあります。各自保険会社にお問い合わせください。